○海陽町海部川清流保全条例
平成18年3月31日
条例第124号
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 海部川清流保全対策基本方針(第10条)
第3章 汚濁及び環境対策
第1節 海部川沿川の美化及び浄化(第11条・第12条)
第2節 排水の汚濁防止(第13条―第18条)
第3節 自然環境の対策(第19条―第24条)
第4章 清流愛護の推進組織(第25条)
第5章 諮問機関の設置(第26条)
第6章 補則(第27条―第32条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この条例は、海部川の清流を次世代に守り残すため、河川管理者の行う清流保全対策と相まって、町長、事業者及び町民のそれぞれの責務を明らかにするとともに、海部川の清流保全対策と流域の環境等の愛護に関する必要な事項を定めるものとする。
(清流保全の基本理念)
第2条 この条例において清流とは、流水と流水の源である自然環境が良好な状態で保持され、生物の生息に最も適した流水の状態をいう。
2 清流を守るための施策は、町民の参加、協力及び理解に基づき行われるものとする。
3 清流を守るための施策を進めるに当たっては、町民の諸活動並びに治水及び利水との調和を図り、将来にわたって良好な水質を保全し、豊かで快適な流域の環境を創造するものとする。
(1) 海部川 海陽町に存する河川法(昭和39年法律第167号)第5条第1項の規定により指定された海部川水系及び同水系に接続する河川、公共溝、かんがい用水路並びにその他公共の用に供される水路を対象としていう。
(2) 生活排水 町民の日常生活に用いられる住居、事務所及び店舗等から排出されるすべての排水をいう。
(3) 浄化に必要な装置 海部川に排出される排水の浄化に効果のある装置で具体的に規則で定めるものをいう。
(4) 海部川自然環境愛護区域 海部川流域において優れた自然環境を有し、河川法に定める河川区域及び河川保全区域を除く町長の指定する区域をいう。
(町長の責務)
第4条 町長は、海部川の清流を守るため、海部川清流保全対策基本方針を策定し、この基本方針に基づいて、総合的な施策を実施しなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、海部川の清流を守るため自ら努力するとともに、町長が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、海部川の清流を守るため、常に最大限の努力をするとともに、町長が実施する諸施策に協力しなければならない。
2 事業者は、その事業活動により生ずる廃棄物及び排水の適正な処理並びに公害の防止に努め、海部川の清流を損なわないよう自らの責任と負担において、必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、その事業活動に当たっては、海部川の自然環境の破壊の防止と回復に努めなければならない。
4 事業者は、その事業活動に伴う公害等に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に当たらなければならない。
(連携及び協力)
第7条 町長、町民及び事業者は連携を図り、海部川の清流を守るための必要な活動を協力して行うものとする。
(関係行政機関への協力要請等)
第8条 町長は、海部川の清流を守るため、国、県及びその他関係地方公共団体に対し協力を要請するものとする。
(啓発活動及び助言)
第9条 町長は、海部川の清流を守るための知識の普及及び町民意識の高揚を図るとともに、自主的活動の助長及び育成に努めるものとする。
2 町長は、町民及び事業者が行う海部川の汚濁防止のための施設の整備について、必要な助言又は指導を行うことができる。
第2章 海部川清流保全対策基本方針
(基本方針)
第10条 町長は、海部川の清流を守るため、流域における汚濁負荷量の削減等に関する海部川清流保全対策基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 前項の基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 海部川の水質の維持及び改善に関する事項
(2) 海部川の自然環境愛護に関する事項
(3) 清流愛護意識の普及及び定着に関する事項
(4) 前3号に定めるもののほか、海部川の清流を守るための必要な事項
3 町長は、基本方針の決定又は変更に当たっては、あらかじめ河川管理者と協議するとともに、海部川清流愛護審議会の意見を聴かなければならない。
第3章 汚濁及び環境対策
第1節 海部川沿川の美化及び浄化
(沿川の美化及び浄化)
第11条 町民等は、自ら海部川沿川の美化及び浄化に努めなければならない。
(美化及び浄化活動の助成)
第12条 町長は、町民が行う海部川沿川の美化及び浄化活動を支援し、予算の範囲内において助成を行うものとする。
第2節 排水の汚濁防止
(生活排水の浄化)
第13条 町民は、生活排水を海部川に排出しようとするときは、排水の浄化に有効な装置を設置して排出するよう努めなければならない。
2 町民は、海部川の水質悪化を招く生ゴミ粉砕機その他これに類する器具を用い処理した排水を直接排出してはならない。
3 町民は、海部川の水質汚濁防止のため、洗濯用洗剤及び洗濯用石鹸の使用量を減らすよう努めるものとする。
(浄化装置の助成)
第14条 町長は、浄化装置の設置を促進するため、町民に対し予算の範囲内において助成を行うものとする。
(肥料等の適正使用)
第15条 海部川流域の田畑において、肥料又は農薬を使用する者は、適正に使用し、海部川の水質を汚濁しないよう努めなければならない。
(家畜のふん尿の適正処理)
第16条 海部川流域において、畜産業を営む者は河川法施行令(昭和40年政令第14号)第16条の4第2項により、家畜のふん尿を海部川に直接排出してはならない。その処理施設の設置に努めるとともに、土壌還元方法等により適正に処理しなければならない。
(工場等の責務)
第17条 工場又は事業所は、事業活動に伴う排水を海部川に排水しようとするときは、次に掲げる排水基準に適合しなければならない。
(1) 海部川の水を著しく変化させるような色又は濁りのないこと。
(2) 海部川の水温を著しく変化させるような排水温度でないこと。
(3) 海部川の水に著しく臭気を帯びさせるような排水でないこと。
(4) 海部川の水に有害物質を含む排水でないこと。
(特定施設の管理)
第18条 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)に定める特定施設の設置をする工場又は事業所は、設置後の維持管理を適正に行い、排水の水質悪化を防止しなければならない。
第3節 自然環境の対策
(景観の保持)
第19条 事業者は、その事業活動により、海部川の清流を損なうことのないよう努め、自然景観を保持するため、植生の回復及び緑地の造成等の措置を積極的に講じなければならない。
(海部川自然環境愛護区域)
第20条 町長は、海部川の優れた自然環境を愛護するため、海部川自然環境愛護区域(以下「愛護区域」という。)を指定することができる。
2 町長は、愛護区域の、指定をしようとするときは、河川法に規定する河川区域及び河川保全区域を除外するとともに、あらかじめ海部川清流愛護審議会の意見を聴かなければならない。
3 町長は、愛護区域の指定をしようとするときは、規則で定めるところによりその旨を公告しその案を当該公告の日から14日間公衆の縦覧に供しなければならない。
5 町長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議ある旨の意見書の提出があったときは、公聴会を開催するものとする。
6 町長は、愛護区域を指定したときは、これを告示しなければならない。
(行為の届出)
第21条 愛護区域において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ町長にその旨を届け出なくてはならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、増改築し、又は移転すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、土石、砂利の採取その他土地の形質を変更すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、愛護区域の自然環境に影響を及ぼすおそれのある行為で町長が定めるもの
2 次に掲げる行為については、前項の規定は適用しない。
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 国又は地方公共団体による行為
(3) 土地所有者又は地区の共同作業として行う一般的な管理行為
(4) 河川法その他の法令に基づく行為
(5) 前各号に定めるもののほか、自然環境に影響を及ぼすおそれがないもので、町長が定めるもの
(行為の変更届)
第22条 前条第1項の届出をした者が、届出をした事項に変更を生じたときは、速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
(指導勧告)
第23条 町長は、第21条第1項の規定による届出があった場合において、愛護区域の目的を達成するため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、計画の変更若しくは改善を指導し、又は勧告をすることができる。
(愛護協定の締結)
第24条 町長は、愛護区域の保全に特に必要と認める場合、当該区域内において旅館、飲食店等の営業をしようとする者及び事業活動に伴う汚水を排水しようとする者と、周辺環境及び水質の保全のため必要な事項を内容とする協定(以下「愛護協定」という)を締結することができる。
2 前項に該当する事業者は、愛護協定を町長と締結するよう努めなければならない。
3 第1項の規定により愛護協定を締結した事業者は、これを忠実に履行しなければならない。
第4章 清流愛護の推進組織
(海部川清流(景観)保全対策協議会)
第25条 町長は、海部川の清流愛護対策を推進するため、海部川清流(景観)保全対策協議会(以下「対策協議会」という。)を置くものとする。
2 対策協議会は、次に掲げる事業を行うものとする。
(1) 海部川の清流及び景観を守るための調査及び研究に関すること。
(2) 海部川の清流及び景観を守るための実践活動に関すること。
(3) その他目的達成に必要な事業に関すること。
3 対策協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、町長が別に定める。
第5章 諮問機関の設置
2 審議会は、海部川の清流に関する重要事項について、町長に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員10人以内で組織する。
4 審議会には、専門的事項を調査審議させるため必要があるときは、特別委員若干人を置くことができる。
5 委員及び特別委員は、次に掲げる者のうちから、町長が委嘱し、又は任命する。
(1) 関係町民団体代表者
(2) 学識経験者
(3) 町議会議員
(4) 関係行政機関及び本町の職員
(5) その他町長が必要と認めた者
6 委員の任期は2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 審議会に、会長、副会長、各1人を置き、委員の互選によりこれを選出する。
8 審議会の運営に関し必要な事項は、町長が別に定める。
第6章 補則
(立入調査)
第27条 町長は、この条例の施行のため必要があると認めるときは、本町職員に、他人の所有又は占有する土地又は工場等に立ち入り、その状況を調査させ、又は関係者に対する指示を行わせることができる。
2 前項の規定による立入調査を行う職員はその身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 何人も正当な理由がない限り、第1項の規定による立入調査を拒み妨げてはならない。
4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のため認められたものと解してはならない。
(資料の提出)
第28条 町長は、必要と認めるときは、町民及び事業者に対し、必要な事項について資料の提出を求めることができる。
2 何人も正当な理由がない限り、第1項の規定による資料の提出を拒み妨げてはならない。
(氏名等の公表)
第29条 町長は、次に該当する場合、町民及び事業者の氏名及び事実行為について公表することができる。
(2) 第24条第1項の愛護協定に違約して事業を行い、愛護区域内の景観又は動植物の生態系に重大な影響を及ぼした場合
(3) 第27条の規定による立入調査を正当な理由がなく拒み妨げた場合
(4) 第28条の規定による資料の提出を正当な理由がなく拒んだ場合
2 町長は前項の規定により公表する場合においては、当事者に意見を述べる機会を与えなければならない。
(法令の順守義務)
第30条 町民及び事業者は、河川法、水質汚濁防止法その他の法令に定めのある規定基準を順守しなければならない。
(その他の河川)
第31条 町長、町民及び事業者は、海部川以外の河川についても愛護及び浄化を図るよう努めなければならない。
(委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年3月31日から施行する。