○海陽町元気になる「和」条例
平成21年3月19日
条例第1号
(趣旨)
緑豊かな山々と美しい清流が育んだ肥沃な土壌、黒潮の海、豊かな自然と温暖な気候に恵まれた海陽町は、海の幸、山の幸、川の幸が豊富で、この地で営まれる農林水産業は、古くから住民の暮らしを支えてきました。
本町においても第一次産業に従事する人の比率は高く、生産性や所得率の向上は、活力ある地域づくりを図るうえで不可欠な要素となっています。
一方、近年、輸入食材への依存や残留農薬、食品偽装等の食に対する不安が増大し、食を取り巻く環境の変化や食生活の乱れが社会問題となり、食への関心が高まっています。
食べることは生きることの基本であり、元気な身体と豊かな心を育むためには大変重要なことです。
今こそ、新鮮で良質な地元の食材に目を向け、いのちの源である食のあり方について、生活者の視点で考えることが必要です。
農林水産業と食に携わるすべての人が、お互いを思いやるあたたかい心でつながり、和をもって、いのちと健康を支える安心安全な食の文化を育み、次世代に伝えていくことがこれからの私たちの責務です。
ここに、私たちは、あたたかで力強い和の輪で結ばれた魅力あるまちを目指して、『海陽町元気になる「和」条例』を制定し、未来の海陽町のために行動します。
(目的)
第1条 この条例は、食の安心安全、地産地消、食育を柱として、元気になる「和」づくりに関する基本的な考え方を示し、町、町民、農林水産業者及び商工業者の役割を明らかにすることにより、海陽町の元気な未来を実現することを目的とします。
(言葉の意味)
第2条 この条例の中で使われる言葉の意味は、次のとおりです。
(1) 「食」とは、人の生命の源であり、食料、食材、料理、飲食など、広い範囲での食をいいます。
(2) 「地産地消」とは、生産者と消費者が「顔が見え、話が出来る関係」を結び、地域と農林水産業、関連産業の元気な「和」を築くことを目指し、海陽町で生産された安心安全な農産物、林産物、水産物を海陽町内で消費又は活用することをいいます。
(3) 「食育」とは、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むために、さまざまな経験を通して食に関する知識と食を選択する力を身につけ、正しい食生活を実践することができる人を育てることをいいます。
(基本理念)
第3条 私たちは、元気になる「和」づくりを次の基本的な考え方により、元気・やる気・根気をもって進めていきます。
(1) 食の安心安全
つくる人と食べる人が笑顔と信頼の心でつながり、生産から消費までの過程において安心で安全な食材が安定して提供できる地産地消の体制づくりに取り組みます。
(2) 活力ある地域づくり
農林水産業と関連産業のつながりを深め、新たな地域資源の掘り起こしや地元産品の個性と商品力を高めることにより、活力ある地域産業の育成を図り、人とまちが元気になるように取り組みます。
(3) 環境への配慮
農林水産業の持つ循環機能を活かした生産活動と、森林資源の有効活用、製造や流通過程における環境への負荷の低減など、自然と産業との調和を図りながら、豊かな自然環境が保たれるよう取り組みます。
(4) 食育の推進
真に身体に美味しい食とは何かを一人ひとりが考え、食に関する知識と正しい判断力を身につけるとともに、地元の旬の食材を有効に活用した健全な食生活による心身の健康づくりを進めるため、家庭、地域、学校、企業、行政など幅広い関係者が連携して取り組みます。
(5) 食文化の伝承と創造
地域に伝わる伝統的な郷土食を大切にするとともに、地元の農林水産物を活用した新たな料理や特産品の開発に努め、町民はもとより、町を訪れた人たちにも楽しんでもらえるような魅力ある食文化の創造に取り組みます。
(町の役割)
第4条 町は、基本理念に基づいて、町民、農林水産業者及び商工業者との共働により、元気になる「和」づくりに関する施策を推進します。
(町民の役割)
第5条 町民は、基本理念に基づいて、食への関心を高め、学びの機会を積極的に活用し、身につけた正しい知識を子どもたちに伝えていきます。
2 町民は、安心で安全な生産物を提供しようと努力する農林水産業者への理解を深め、日頃の生活に良質な地元の農林水産物を積極的に取り入れるよう努力します。
(農林水産業者の役割)
第6条 農林水産業者は、基本理念に基づいて、消費者の生命と健康を守ることを使命として、良質な農林水産物を生産するとともに、適切な情報を消費者に提供するよう努力します。
2 農林水産業者は、環境に配慮した生産方法を積極的に取り入れて消費者の要望に応えられるよう努力します。
(商工業者の役割)
第7条 商工業者は、基本理念に基づいて、安心な生産物を求める消費者と安全な生産物を提供しようとする農林水産業者との橋渡しとしての重要な役割を担っていることを認識し、地産地消の推進に協力します。
2 観光事業者は、地域の食材をふんだんに使った料理を提供するとともに、地域資源を活用した特産物を宣伝するよう努めます。
(推進計画)
第8条 町は、基本理念に基づいて、総合的かつ継続的な取り組みを進めるため推進計画を策定します。計画の策定に当たっては、町民の意見を反映させていきます。
(元気になる「和」推進委員会)
第9条 町長は、推進計画の策定及びその実施推進のため、元気になる「和」推進委員会を設けます。
(委任)
第10条 この条例の施行に必要な事項は、町長が別に定めます。
附則
この条例は、公布の日から施行します。