○海陽町ふるさとの水を守る条例
平成24年6月18日
条例第16号
目次
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 水資源保全地域の指定(第9条)
第3章 水資源の採取の規制(第10条―第18条)
第4章 海陽町ふるさとの水を守る審議会(第19条―第25条)
第5章 雑則(第26条―第34条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本町における水資源が、町民共通の貴重な財産であり、町民の福祉の増進に沿うように利用されるべき資源であるとの観点から、水資源の保全に関し、町、町民等、事業者及び採取者の責任を明らかにするとともに、水資源保全地域の指定、その他必要な事項を定めることにより、ふるさと海陽町の水を守り、もって町民の健康で快適な生活環境を確保することを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町は、平成の名水百選に選ばれた「海部川」をはじめ、水源の森百選に選ばれた「轟山水源の森」、母川及び宍喰川などの優良な水資源を有しており、水道、農業用水等として利用され、町民に潤いと安らぎを与えるものとして古くから守り親しまれている。これら水資源が町民生活にとって欠くことのできない町民共通の貴重な財産であることに鑑み、広く町民の福祉の増進が発揮できるよう町、町民及び事業者等が協働してその有効な利用に努め、かつ、未来にわたり保全していかなければならない。
(1) 水資源 本町に存在する河川水、地下水及び湧水をいう。
(2) 河川水 公共の水流及び水面(河川法(昭和39年法律第167号)が適用され又は準用される河川の水流及び水面を除く。)で町長が指定したものをいう。
(3) 地下水 地下の岩石の割れ目や、地層中の間隙を満たしている水(温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定する温泉、鉱業法(昭和25年法律第289号)第3条第1項に規定する可燃性天然ガスを溶存する地下水並びに河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項及び第100条第1項に規定する河川の流水であることが明らかなものを除く。以下同じ。)をいう。
(4) 湧水 地下水が地表に自然に出てきたものをいう。
(5) 井戸 地下水を汲み上げるため、地面を深く掘った設備をいう。
(6) ストレーナー 井戸に設けられた、吸水孔をいう。
(7) 町民 本町に住所を有する者をいう。
(8) 町民等 町民及び町内に滞在する者並びに町内に所在する土地、建物、事業所等の所有者及び管理者をいう。
(9) 事業者 町内において、事業を行う個人、法人又は団体をいう。
(10) 採取者 町内において水資源の採取を行うものをいう。
(適用除外)
第4条 この条例は、国又は地方公共団体が事業者である場合及び水資源の採取の目的が生活用又は農業用に限られる場合には適用しない。
(町の責務)
第5条 町は、水資源の保全に資するため、総合的な施策を講じなければならない。
(町民等の責務)
第6条 町民等は、水資源が貴重なものであることを認識し、節水や森林及び緑地の保全等により自ら水資源の保全に努めるとともに、町が行う水資源の保全に係る施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、水資源が貴重なものであることを認識し、事業活動に際しては、水資源の保全のために必要な措置を講ずるとともに、町が行う水資源の保全に係る施策に協力しなければならない。
(採取者の責務)
第8条 採取者は、水資源の採取量の縮減に努めるとともに、かん養等自ら水資源の保全のために必要な措置を講じなければならない。
2 採取者は、町が行う水資源の保全に係る施策に協力しなければならない。
第2章 水資源保全地域の指定
(水資源保全地域の指定)
第9条 水資源を保全するため、町内全域を水資源保全地域(以下「保全地域」という。)として指定する。
第3章 水資源の採取の規制
(水資源の採取の許可)
第10条 保全地域において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ町長の許可を受けなければならない。
(1) 河川水又は湧水の採取であって、1日当たりの採取量(同一事業者が2か所以上採取しているときは、その採取量の合計。以下同じ。)が20立方メートルを超えるもの
(2) 地下水の採取であって、揚水機(揚水機の吐出口の断面積(吐出口が2以上あるときは、その断面積の合計。以下同じ。)が6平方センチメートルを超えるものに限る。)を設置して行うもの
(1) 水資源の有効な利用に支障がないこと。
(2) 既存の水道及び生活用水源又は井戸に影響を及ぼすおそれがないこと。
(3) 採取する水資源の用途が必要かつ適当であること。
(4) 他の水をもって替えることが困難であると認められること。
(許可申請書)
第12条 第10条第1項の規定による許可を受けようとする者(以下「許可申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した申請書を町長に提出しなければならない。
(1) 氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名)及び住所
(2) 水資源の用途及び利用計画等
(3) 井戸ストレーナーの位置、揚水機の種類、吐出口の断面積及び量水計の種類
(4) 取水深度と1日平均採取量
(5) 取水場所の土地所有者
(6) 申請者と採取者が異なる場合にあってはその関係
(7) 完成後の施設の排水処理方法及び施設等
(8) 設置場所
2 前項の申請書には、町長が別に定める書類を添付しなければならない。
(許可又は不許可の決定)
第13条 町長は、前条の申請書を受理したときは、その許可の適否について海陽町ふるさとの水を守る審議会に諮問しなければならない。
2 町長は、前項の申請書を受理した日から起算して60日以内に許可又は不許可を決定しなければならない。ただし、特別な事情がある場合は、この限りでない。
3 町長は、前項の許可の決定に必要な条件を付することができる。
4 町長は、第2項の決定をしたときは、文書をもって許可申請者に通知しなければならない。
(変更の届出)
第15条 許可採取者は第12条第1項各号に定める事項に変更があった場合においては、その変更のあった日から30日以内にその旨を町長に届け出なければならない。
(承継)
第16条 許可採取者から許可施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該許可施設に係る許可採取者の地位を承継する。
2 許可採取者について、相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、許可採取者の地位を承継する。
3 前2項の規定により許可採取者の地位を承継した者は、その承継のあった日から起算して30日以内にその旨を町長に届け出なければならない。
(許可の失効等)
第17条 許可採取者が、その許可施設につき次の各号のいずれかに該当するに至ったとき、当該許可施設に係る許可は、その効力を失う。この場合において、許可採取者は遅滞なくその旨を町長に届け出なければならない。
(1) 1日当たりの採取量が20立方メートル以下としたとき。
(2) 揚水機の吐出口の断面積を6平方センチメートル以下としたとき。
2 許可採取者は、許可施設を廃止したときは、その廃止した日から起算して30日以内に町長に届け出なければならない。
2 町長は、この条例若しくはこの条例に基づく規則に違反し水資源の採取に着手し、又は着手しようとする者に対して、期限を定めて許可施設の設置工事若しくは水資源の採取を停止させ、又は水資源の採取量を減少させるなど当該違反行為の是正のために必要な措置を命ずることができる。
第4章 海陽町ふるさとの水を守る審議会
(設置)
第19条 本町における水資源の保全を図るため、海陽町ふるさとの水を守る審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(審議事項)
第20条 審議会は、町長の諮問に応じ次に掲げる事項について審議する。
(1) 本町が定める水資源保全に係る施策に関すること。
(3) 第11条各号の許可基準の変更又は廃止に関すること。
(4) その他町長が水資源の保全上必要と認める事項に関すること。
(組織)
第21条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、町長が委嘱し、又は任命する。
(1) 知識経験を有する者
(2) 関係機関の代表
(3) その他町長が必要と認める者
(委員の任期)
第22条 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第23条 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第24条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、町長の諮問に応じ会長が招集する。
2 会議は、会長が議長となる。
3 審議会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
4 議事は、出席した委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(答申)
第25条 会長は、審議の結果を町長に答申しなければならない。
第5章 雑則
(報告の徴収)
第26条 町長は、水資源の保全上必要があると認めるときは、採取者に対し、規則で定める事項について報告させることができる。
(立入調査)
第27条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に採取者の施設設置場所又は当該採取者の事業所若しくは事務所に立ち入り、必要な調査をさせることができる。
2 前項の規定により調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者から請求を受けたときは、これを提示しなければならない。
(指導等)
第28条 町長は、水資源の保全に関し、必要があると認めるときは、採取者に対し、指導又は助言を行うことができる。
2 町長は、水資源を採取することにより水の減少、枯渇又は汚染への影響があると認めるときは、採取者に対し期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(措置命令)
第29条 町長は、前条第2項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、期限を定めて当該措置をとることを命ずることができる。
(緊急時の措置命令)
第30条 町長は、予見することができなかった特別の事情の発生により、水資源の保全を図るため、緊急の必要があると認めるときは、採取者に対し、相当の期間を定めて、水資源の採取を制限することを命ずることができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめその者に対し、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(経過措置)
第33条 保全地域の指定の際に現に権原に基づき、この条例の規定により許可を要する行為を行っている者は、この条例の規定により許可を受けたものとみなす。
(委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成24年8月1日から施行する。
附則(令和2年3月23日条例第3号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。